「相続放棄すれば、いらない実家を手放せるのでは」。県外にお住まいで、小豆島の実家を継ぐことになりそうな方から、よくいただくお話です。この記事では、相続放棄の基本と、手続きの前に知っておきたい3つのこと、そして「放棄する前に検討したいこと」を、小豆島の工務店の立場から整理します。
相続放棄とは
相続放棄とは、亡くなった方(被相続人)の財産を、プラスもマイナスも含めて一切受け継がないと決める手続きです。「実家だけいらない」という感覚で語られがちですが、実際は法律上の正式な手続きで、家庭裁判所に申し出て認めてもらう必要があります。
期限があります。相続放棄の申述(もうしたて)は、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に行います。申し出る先は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。この期間を過ぎると、原則として放棄はできなくなります。
手続きの前に知っておきたい3つのこと
「実家がいらないだけ」で放棄を決める前に、次の3点は押さえておいてください。
1. 家や土地だけを選んで放棄することはできない
相続放棄は「この財産はいらない、これはもらう」と選ぶことができません。実家の建物や土地を放棄すれば、預貯金など他の相続財産も、あわせてすべて放棄することになります。「使わない家は手放したいが、預貯金は受け取りたい」という場合、相続放棄はその希望にそぐわないことがあります。
2. 放棄しても「現に占有」していれば、保存の義務が残る場合がある
「放棄すれば、その家のことは一切関係なくなる」と思われがちですが、そうとは限りません。2023年4月に施行された改正民法(940条1項)では、放棄した人がその財産を現に占有しているときに限り、相続人などに引き渡すまでは、自分の財産と同じ程度の注意をもって保存する義務があるとされています。
これは、その家に住んでいた方や、実際に管理していた方についての話です。逆に、県外にお住まいで一度も占有していない場合は、この義務は生じません。過度に不安になる必要はありませんが、「放棄したら即、完全に手が離れる」とは限らない、と知っておくと安心です。
3. 一度受理されると、原則として撤回できない
家庭裁判所に相続放棄が受理されると、原則としてあとから撤回することはできません。「やっぱり実家を活用したい」と思い直しても、戻せないのが基本です。だからこそ、決める前に選択肢を見比べておくことが大切になります。
放棄の前に、「売る・貸す・活用する」も見比べてみる
相続放棄は有効な選択肢のひとつですが、それしかないわけではありません。「古くて価値がないから」と思っていた実家でも、実際に建物を見てみると、直して貸せる状態だったり、土地として売れる見込みがあったりします。
わたしたちは島の家を建て、直してきた工務店です。建物の傷み具合を見たうえで、「これなら活かせる」「ここまで傷んでいれば解体して土地で」といった現実的な見立てをお伝えできます。手放す・活かすの具体的な比べ方は、売る・貸す・解体する|3つの選択肢の比べ方もあわせてご覧ください。
放棄という判断は、こうした選択肢を一通り並べたうえで下しても遅くありません。
期限があるので、早めに整理を
相続放棄には3か月という期限があります。迷っている時間が長いほど、判断の余地は狭まっていきます。
なお、相続放棄そのものの手続き(申述書類の作成や、放棄すべきかどうかの法的な判断)は、司法書士や弁護士の領域です。専門家にご相談ください。わたしたちがお手伝いできるのは、「その不動産を、放棄する前に活かせないか」「手放すとしたらどんな方法があるか」という、不動産としての整理の部分です。
相続した家や土地のこと、相続放棄を含めてどう進めるか迷っている段階からご相談いただけます。相談は無料です。県外にお住まいの方には、Zoom・Google Meet でのオンライン相談にも対応しています。進め方の詳細は県外にお住まいで空き家・土地をお持ちの方へをご覧ください。
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